東京の児童養護施設、オンライン学習対応に苦慮――緊急アンケート結果

~アンケート結果を踏まえ、パソコンを寄贈するプロジェクトを始動~

東京での新型コロナウィルス感染拡大と休校の長期化を受けて、NPO法人ライツオン・チルドレン(本部:東京都渋谷区、理事長:立神由美子)は、4月9日~10日に東京の児童養護施設56か所を対象にウェブアンケートを行いました。その結果から、オンライン学習に移行する学校や塾が増える中、児童養護施設ではパソコンが不足し、対応に苦慮している実情が浮かび上がりました。
ライツオン・チルドレンでは施設にパソコンを寄贈するプロジェクトを始動し、企業・個人の皆さまからの寄付を受け付けます。


アンケート結果について

【「東京の児童養護施設へのパソコン寄贈に関する緊急アンケート」調査概要】
調査方法 : Webフォームにて回答
調査期間 : 2020年4月9日(木)~2020年4月10日(金)
調査対象 : 東京都の「児童福祉施設等一覧」に掲載の児童養護施設56か所
有効回答 : 34施設(有効回答率61%)

児童養護施設の現状

児童養護施設は、虐待など様々な理由で親と暮らせない子どもが生活する施設です。6人かそれ以上の人数の子どもが同じ居住空間で生活しています。
子どもたちは通常であれば学校や幼稚園などに通っていますが、現在は臨時休校・休園により、施設内に留まっています

アンケートでは、休校長期化や社会情勢の変化に関連して、子ども・退所者に及んでいる影響や懸念点を尋ねました。
34施設中、25施設(74%)が子どものストレスを懸念している他、17施設(50%)は学習の遅れやオンライン学習への対応に不安があると回答しました(グラフ)。

子どもが暮らす生活施設において、感染症を予防しつつ、学習・遊びの機会をどう確保するかが大きな課題になっています。

また、施設を出て仕事をしたり、大学等に通ったりしている退所者についても、懸念の声が集中しました(15施設、44%)。
「サービス業に就いている退所者が多いことから、収入減によって生活を維持できなるのではないか。行政による支援をキャッチする力が弱い退所者が多いことから、退所者に情報を届ける、行政によるサービスにつなげる支援が必要になると考えています。」(アンケート回答より)

さらに、高校生の子どもたちはアルバイトができなくなっており、収入が減っています。収入が減ることで、携帯電話の料金の支払いが難しくなれば、友人との交流や学業にも影響が出る懸念があります。施設を出た後に就職・進学して自立するための資金も、十分確保できなくなるおそれがあります。

オンライン学習への転換に苦慮

休校が長期化する中、オンライン学習への転換が急ピッチで進んでいます。
児童養護施設では、子どもが使えるパソコンやインターネットの整備は十分とは言えません。しかし、学校や塾がオンライン学習に切り替える決定を既にしてしまい、対応に苦慮するケースが出ています。

アンケートでは、子ども用パソコンが手に入った場合の活用方法について、「学校の課題」と答えた施設が28施設(82%)に上りました(グラフ)。
また、「学校や塾での学習を補うためにインターネットを使った学習をさせたい」と答えた施設も29施設(85%)に上りました。


アンケートの中から施設の声を紹介します。
休校によって、学校からの連絡や宿題等でパソコンを利用しなくてはならいケースが増えており、そうした環境が整備できていないことに対して不満がでてきている。」
中学生の塾のインターネット教材や高校生のネット授業等が始まっており、各寮1台の子ども用パソコンでは不足している状況です。」
「学校や塾に行けなくなり、学力の遅れがさらに進む心配をしていますが、ドリル等に取り組ませるのも限界を感じています。パソコンやタブレットを学習や遊びに使ってはいますが、数が足りない状況です。」

情報端末や通信料金は決して安いものではありません。オンライン学習は、活用の仕方によっては世帯間・子ども間の格差を助長する可能性も秘めています。取り残される子どもが出ないように配慮することが求められます。

国や都の対応は

児童養護施設の多くは、国と都道府県等が必要経費を負担し、民間が運営しています。
児童養護施設のパソコンやインターネットの整備について、ライツオン・チルドレンが厚生労働省と東京都の担当者にそれぞれ電話で確認したところ、休校の長期化などを踏まえても特別な対応をとる考えはなく、国や都が支出している通常の予算の中でやり繰りしてほしいとのことでした。(都は4月7日、厚生労働省は4月9日時点の回答)


施設にパソコンを寄贈するプロジェクト始動

ライツオン・チルドレンでは、こうした現状を踏まえて、東京の児童養護施設に子どもたちが使うためのパソコンの寄贈するプロジェクトを立ち上げます。

寄贈先と寄贈台数は、アンケートへの回答を踏まえ、ライツオン・チルドレンが決定します。
アンケートでは、各施設にパソコンの寄贈を受けられる場合に希望する台数を尋ねました。ただし、児童6人で1ユニット(生活単位)となっていることを踏まえて、入所児童6人につきパソコン1台を希望の上限としました。
子どもがネットを使える環境が「ない」などとした9施設を集計から除外すると、直ちにパソコンが必要な施設は25施設、パソコンの台数は160台となります。平均すると1施設当たり6.4台ですが、10台以上希望した施設も4施設ありました。

ライツオン・チルドレンは、このプロジェクトのために、一般の法人・個人からの寄付を呼びかけます。企業の場合、使用済みパソコンを寄付してご支援頂くことも可能です。(2020年4月13日~5月6日の間にライツオン・チルドレンに入金いただいたご寄付は、特に申し出がない限り、このプロジェクトへの寄付として受け付けさせて頂きます。)
寄付方法の詳細やプロジェクトの進捗は、ライツオン・チルドレンのホームページをご覧ください。
https://lightson-children.com

なお、児童養護施設の職員が事務作業で使用するパソコンやICT環境の整備は、厚生労働省によって予算化されており、今回の寄贈の対象にはなりません。

ライツオン・チルドレンについて

NPO法人ライツオン・チルドレンは、社会的養護の子どもの学びや自立を企業等と共に支えていくための非営利団体です。児童養護施設・里親家庭で暮らす高校生や出身者向けにパソコン講習会を2014年からほぼ毎月開催し、約300台のノートパソコンを贈ってきました(「e2プロジェクト」)。その費用は、企業や個人からの寄付によって賄ってきました
この取り組みは新型コロナウィルスの感染拡大により3月から中止しており、再開の目途は立っていません。今回は、これまでとは違った形で施設の子どもたちへのサポートを行う必要があると判断しました。

法人名称:特定非営利活動法人ライツオン・チルドレン
代表者:理事長 立神 由美子
所在地:東京都渋谷区桜丘町30-12 マイア渋谷桜丘201
ホームページ:https://lightson-children.com

お問い合わせ:
https://lightson-children.com/contact/

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