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「児童養護施設」について

「児童養護施設」
ってどんな
ところ?

児童養護施設では、保護者の健康上・経済上の理由、もしくは家庭環境の問題から保護者のもとでの養育が困難と判断された子どもたちが暮らしています。
このページでは、児童養護施設についての基本事項や、誤解しがちな点をまとめました。

児童養護施設の数
およそ

600箇所

平成28年10月1日現在、
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課調べ

児童養護施設で暮らす
子どもの数 およそ

27,
300

平成28年10月1日現在、
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課調べ

児童養護施設で暮らす
子どもの年齢 おおむね

2~18

児童福祉法第41条など(1歳未満の乳児は基本的に「乳児院」または「里親」での養育となる。18歳に達した後も、児童養護施設での養育を20歳まで延長できる(措置延長制度))

出典:厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課「社会的養育の推進に向けて」平成29年9月( リンク

児童養護施設は子ども達が日々の生活を送る場所

決して特別なことをする場所ではありません

児童養護施設の子どものうち、2歳から6歳は幼稚園へ、6歳から15歳までの子どもは近隣の小中学校に通っています。中学校を卒業すると、ほとんどの子どもが高校に進学します。

子どもの年齢によって、外出できる範囲や時間が決められています。習い事をしたり、部活動をしている子どももいます。施設やホーム単位で、レジャーや旅行に行くこともあります。

食事の準備や買い物、家事は施設のケア職員が行なっています。食器の片付けなどは、子ども達が手伝うこともあります。子どもの誕生日には、子どものリクエストを夕食の献立に反映している施設もあります。

施設の子どもも、年齢も応じた金額のお小遣いがもらえます。また、多くの子どもが、高校生になるとアルバイトをします。お小遣いは職員が管理していることが多いです。

※複数の児童養護施設のようすを参考にまとめていますが、すべての施設に対して上記の内容が当てはまるとは限りません。

児童養護施設への理解と…誤解

「児童養護施設」の名前から、どんな場所を連想しますか?

親のもとで養育を受けられない子どもが生活する場所

障害を持った子どもの生活介護を担う施設
→障害児入所施設などが該当


障害を持った子どものための学校
→特別支援学校、特別支援学級などが該当

(かつて「養護学校」という学校種が制定されていた名残で、現在も個々の学校名の最後に「養護学校」がついていることがある。児童養護施設の制度とは重ならない。)

問題行動のある子どもの生活指導をする施設
→児童自立支援施設などが該当


未成年者に対する矯正教育や刑罰を担う施設
→少年院、少年刑務所などが該当

児童養護施設に対して、「障害を持った子どもの療育の場所」だとか、「問題行動のある子どもの矯正施設」という誤解を持つ人が少なくありません。こうした誤った認識が、児童養護施設の子ども自身に対する偏見につながっています。「障害があるようには見えない」だとか、「問題のある子どもが集まっていて不安だ」などという見方が、児童養護施設の子どもたちを苦しめています。

皆さまの職場にも、児童養護施設出身の人がいる可能性はあります。また、お子さんがいる場合、学校や習い事などに児童養護施設の子どもがいる可能性があります。児童養護施設がどのような場所なのか、正しい知識を持っておくのは大切なことではないでしょうか。

※児童養護施設には、心身に何らかの障害を持った子どもや、問題行動のある子どもも暮らしています。しかし、その子どもたちの場合でも、児童養護施設で暮らしている理由は「何らかの事情で親による養育が難しいから」です。

かつては「孤児院」だったけれど…

「親はいるけど、養育できる状況にない」子どもが増加

児童養護施設という制度のルーツは、戦前~戦後復興期の「孤児院」にありました。しかし、「児童養護施設=孤児院」という図式は、今では当てはまらなくなっています。
次のグラフは、子どもが児童養護施設で暮らすことになった理由をまとめたものです。親を亡くしたり、親が行方不明になったりしている子どもの数は減少しています。

特に増えているのは、家庭で虐待を受けたり、親が精神疾患等のため養育できなくなったりするケースです。また、外国籍の親を持つ子どもが、在留資格の喪失などによって行き場をなくすケースもあります(グラフでは主に「その他・不詳」に計上されているものと思われます)。
全体として、「親は生存しているけれど、何らかの事情で子を養育できない」というケースが多数を占めるようになったことが伺えます。

※児童養護施設での養育は、親権者(実親)との完全な分離を意味するとは限りません。親権者の同意のもとで措置入所している場合(児童福祉法27条3項)などは、家族再統合の可能性を模索しながらの養育になります。一方で、親権者の同意なしに家庭裁判所が措置入所を承認した場合(児童福祉法28条1項)など、家族再統合が難しかったり適切でないと判断されたりするケースもあります。

子どもが児童養護施設に入所した理由

(凡例をクリックまたはタップと、表示する項目を減らすことができます)

厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課「社会的養育の推進に向けて」平成29年9月( リンク を基に作成
※各年度の「児童養護施設入所児童等調査結果」による。
※「虐待」は、虐待・酷使、放任・怠惰、棄児、養育拒否を含む。
※「破産等の経済的理由」と「児童問題による監護困難」は、昭和58年度の調査項目に含まれていなかった。

(このページの記載内容は、2018年1月9日に更新されました)