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「社会的養護」について

そもそも
「社会的養護」
って?

保護者のいない児童や、保護者がいても何らかの理由で育てることが困難な児童など、保護や養育を必要とする子どもに対し、行政の責任で保護・養育を行うしくみを、「社会的養護」と言います。
このページでは、社会的養護について皆さまに知っていただきたいことをまとめました。

家庭での子育てが難しくなる要因

「自分の子どもを育てられない」 それって、誰にでも起こり得ること。

健康上の問題

子ども虐待

身体的な虐待や性的虐待はもちろん、心理的虐待、育児放棄(ネグレクト)も子ども虐待に含まれます。虐待の背景には、親の健康問題、経済的な不安定さ、孤立など、さまざまな社会的要因が隠れているかもしれません。

健康上の問題

健康上の問題

内臓疾患などのいわゆる「肉体の病気」はもちろんのこと、うつ病や統合失調症、アルコール依存などの精神科疾患も、親の健康問題に含まれます。失業したりして、子育てに影響します。

経済的な問題

経済的な問題

親の失業や不安定な雇用によって、子育てが難しくなることがあります。これに関連して、近年「子どもの貧困」(子育て世帯の相対的貧困率の上昇)が注目されています。

離婚・DV

離婚・DV

ひとり親になることで、収入を確保しながら子育ての負担もすべて引き受けることになります。また、子どもの面前で行われるドメスティック・ヴァイオレンス(DV)は、心理的虐待にあたります。

事件・事故

事件・事故

交通事故や事件、火災など、突発的な事故に巻き込まれることによって、子育てが困難な状況になることがあります。仮に保険金が下りても、養育する人がいないと、子育てはできません。

自然災害

自然災害

子どもが災害孤児になり、親族等が代わりに子育てを引き受けられない場合があります。生活再建の負担から子育てができなくなる場合もあります。

家庭状況に関わらず、子どもに養育環境を保障する

子どもの権利保障のために行政が果たす役割

さまざまな事情から保護者による養育が難しくなったとき、あるいはそのおそれがあるとき、子どもを守り育てる責任が行政(国・自治体)にあります。そのための一連のしくみが「社会的養護」です。社会的養護は「子どもの最善の利益のために」、「社会全体で子どもを育む」という理念を掲げ、以下のような幅広い役割を担うことになっています。

社会的養護は、家庭での適切な養育を受けられない子どもを養育します。より家庭的で、養育者と1対1の関係が築ける環境が望ましいとされますが、虐待を受けるなど複雑な事情を抱える子どもの場合、専門的ケアとのバランスを考えなければなりません。

心理的ケア

虐待などを受けるなど、適切な養育が受けられなかった場合、子どもは心に傷を負ったり、発達にゆがみや遅れが生じたりします。社会的養護では、これらを癒し、回復させ、適切な発達を図ります。精神科医や臨床心理士などの専門家が関与します。

地域における子育て支援・保護者への支援を推し進めることで、子ども虐待を減らしたり、早期発見したりすることが期待されます。また、社会的養護の子どもが施設などを出て自立した後も、継続したアフターケアが必要で、この観点からも地域との連携は重要です。

子どもが社会的養護につながるプロセス

各都道府県・政令指定都市の「児童相談所」が、重要な役割を果たします

identification

(1) 相談・発見

  • 保護者・親族から児童相談所への相談
  • 学校や医療機関からの通告・相談
  • 近隣住民からの通告・相談
  • 警察での保護
Temporary Custody

(2) 一時保護

児童相談所(児相)が子どもの状況を確認し、必要に応じて「一時保護所」で保護します。子どもの状況を調べ、在宅のまま子どもを支援できないか検討します。保護者が養育を続けるべきではないと判断した場合、児童養護施設に入所させるなどの「措置」を決定します。

Admission

(3) 措置先へ

子どもが児童養護施設・里親などでの生活を始めます。施設の空き状況などの事情から、子どもが全く知らない土地に移るケースもあります。

社会的養護に含まれる制度・福祉サービス

具体的に、誰が何を提供するの?

<代替養育>

子を親から分離して、施設や他の家庭で養育します。分離の必要性は児童相談所が判断し(児童福祉法第27条)、家庭裁判所の承認があれば、必ずしも親の同意を必要としません(同第28条)。また、分離の期間は家庭状況に応じて判断され、一時的な場合もあれば、措置上限の18歳まで続く場合もあります。

一時保護所

緊急に子どもを保護する必要がある場合に、児童相談所の中の「一時保護所」などで、子どもを生活させます。次の措置先が見つからないなどの場合、長期間にわたって子どもの生活を制限してしまうことがあります。
児童養護施設

2歳~18歳くらいの子どもを養育する施設。子ども達は施設で生活し、普通の学校へ通います。普通の戸建て住宅を利用した「グループホーム」を運営していることもあります。全国におよそ600箇所。[措置児童数=27,288人]
もっと詳しく
里親

0歳~18歳の子どもを一般家庭で養育します。基本的に養子縁組はせず、里子との関係は一時的なものです(養子縁組した場合は里親ではなくなります)。[措置児童数=4,973人]
乳児院

0歳~2歳くらいまでの子どもを養育する施設。乳幼児向けの児童養護施設という位置づけですが、病院に併設されていることが多いです。[措置児童数=2,901人]
ファミリーホーム

児童養護施設と里親の中間のカタチ。家庭で、養育補助者も動員しながら、5~6人の子どもを養育します。[措置児童数=1,261人]
関連する制度に「特別養子縁組」があります。特別養子縁組が成立すると、養親と養子の間に法律上の親子関係が生じ、養親が名実ともに保護者となるので、「代替養育」に含まないことがあります。