「子ども虐待 かもしれない」と思ったら ――
いつ、どこに連絡すればいいか
2023年9月の記事
日本語 / やさしい にほんご / SIMPLE ENGLISH
2023年9月の記事
「子どもが家で暴力を振るわれているかもしれない」とか「家で必要な世話をしてもらえなくて、放置されているかもしれない」。そういう子どもを見つけたときにどうすればいいか、このページで説明します。
日本語が得意でない人のために、やさしい日本語で書きます。(別のページに、くわしい日本語の記事と、英語(English)の記事を載せています。)
子どものぎゃくたい(虐待)とは、「親(保護者)が、子どもを守る責任をとらずに、子どもの身体や心を傷つけること」です。「児童ぎゃくたい」ともいいます。
子どもの親ではない人が一緒に住んでいて、その人が子どもにぎゃくたいすることもあります。
身体へのぎゃくたい | なぐる、 ける、 たたく、 投げ落とす、 はげしく揺さぶる、 やけどをさせる、 水におぼれさせる、 首を締める、 ひもで体を絞めつける など ※ しつけのためにやったとしても、ダメです、ぎゃくたいです。 |
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性へのぎゃくたい | 子どもに性的なことをする、 子どもに性的なことを見せる、 子どもの性器を触る、 子どもに他の人の性器を触らせる、 子どもを裸にして写真・動画をとる など |
ネグレクト (ほったらかしにすること) | 家に閉じ込める、 ごはんを食べさせない、 汚い状態のままにする、 車の中においていく、 病気になっても病院へつれていかない など |
心のぎゃくたい | 言葉で脅す、 無視する、 きょうだいの間で差別的なあつかいをする、 子どもの見ているところで家族に暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス、DV)、 きょうだいにぎゃくたいする など |
子どもの親が、パートナーから暴力を受けることもあります(ドメスティック・バイオレンス、DV)。このような「DV」が子どもの目の前で起きるのも、心のぎゃくたいです。
(もしも、あなたに子どもがいて、パートナーから脅しや暴力、心の支配やお金の支配を受けているなら、子どもにも影響があります。あなたが誰かに助けを求めれば、子どもも守ってもらえます。)
日本には、子どもがみんな幸せに生きられるように、法律があります。子どもぎゃくたいを防ぐための法律もあります。
この法律では、日本に住んでいるすべての子どもを、ぎゃくたいから守ることになっています。
生まれた国の違いに関係なく、すべての子どもを守ります。
国籍がない子どもや、国籍があるのか、ないのかわからない子どもも、守ります。
どこの国で生まれたのかがわからない子どもも、守ります。
日本に住むための在留資格がない子どもも、守ります。
子どもがぎゃくたいされているかもしれないと思ったときは、近くの「児童相談所」や役所に連絡します。ほかのところでも、話を聞いてもらえます。
外国人も連絡できます。子どもも連絡できます。
児童相談所は、子どもを守るための役所です。子育てしている人の相談に乗ったり、子どもを守るために家に様子を見に来たりします。
電話番号「189」は、どこからでも児童相談所に電話できるように、日本の政府がつくった電話番号です。
ぎゃくたいされている子どもがいたら、この「189」に連絡して、知らせてください。
児童相談所全国共通ダイヤル
一部の児童相談所では、外国語で話ができます。
たとえば、東京の児童相談所には、外国語で話せるように、特別なチームがいます。
ほかにも、自動翻訳機を使っているところもあります。
近くの市役所、区役所、村役場などに連絡して、子どもぎゃくたいの係の人に知らせてください。
場所によっては、役所の人が、外国語で話せます。
日本の警察の電話番号は「110」です。警察も、子どもぎゃくたいに対応します。
場所によっては、警察署や交番の人が外国語で話せます。
日本の政府の「法務局」が、外国人の権利を守るために、相談を受け付けています。
日本語のほかに、いくつかの言語で相談ができます。
電話でも、インターネットでも相談ができます。
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html
この相談窓口は、ふだんは、「外国人だから」という理由で差別を受けたときに助けてくれるところです。
でも、子どもぎゃくたいのことも、連絡したら、話を聞いてくれます。ここに子どもぎゃくたいのことを連絡したら、児童相談所に伝えてくれます。(※この記事を書いている NPO法人ライツオン・チルドレンが、日本の政府に聞いて、たしかめました。)
「法テラス」は、法律や権利について困ったときに、相談ができる役所です。
https://www.houterasu.or.jp/multilingual/index.html
電話で、外国語を使って相談できます。
Eメールで相談するときは、日本語しか使えません。
児童相談所に届く子どもぎゃくたいの連絡のうち、急いで対応しないといけないものは、「通告」といいます。
「通告」があったとき、児童相談所の人は、子どもに会いに行って、なにが起きているかをしらべます。
子どもが大丈夫かどうかを、48時間以内にたしかめることが、法律で決まっています。
ぎゃくたいがとてもひどいときは、児童相談所の人が子どもをつれて帰ります。
すこしの間、子どもを家族から離して、守るためです。
これを「一時保護」といいます。
(日本では、子どもがぎゃくたいされているとわかっても、親が捕まらないことがあります。子どもを守る役所(児童相談所)と、親を捕まえるかどうかを決める役所(警察など)は、別です。別々の役所が、どうすればいいか、よく考えて決めます。)
一時保護よりも、もっと長い間、子どもを守らないといけないときは、児童相談所が子どもを ほかのところに預けます。
子どもを預かって育てるための施設(児童養護施設・乳児院)や、里親の家があります。
子どもを施設や里親に預けた後、児童相談所は、親が子どもと一緒にくらせるようになったかどうかを考えて、子どもを家に帰すかどうかを決めます。
別々にくらしている間も、子どもと親は会えます。でも、ぎゃくたいがとてもひどいときは、会わせてもらえないことがあります。
児童相談所の仕事は、親と子どもを別々にすることだけではありません。
ぎゃくたいがあまりひどくないときは、親と子どもが一緒にくらせることもあります。
その場合、児童相談所の人は、ときどき家に来て、親と子どもの様子をみます。
親が子育てに悩んでいるときは、助けてくれます。
親と子どもにとくべつな助けが必要なときは、どんなサービスがあるかを一緒にさがしてくれます。
子どもをぎゃくたいから守るときに、子どもが日本に住むための在留資格をもっていないことがあります。
その場合、日本にいることをとくべつに認めるかどうか、役所(出入国在留管理庁)が決めます。
※ 出入国在留管理庁は、外国人が日本にきてもいいか、日本に住んでいいか、日本を出なければならないかを決める政府の役所です。
ぎゃくたいかどうかがよくわからないとき、「児童相談所に連絡しないでおこう」と思うかもしれません。
でも、本当にぎゃくたいなのかどうかは、児童相談所の人たちが調べて、決めてくれます。
「ぎゃくたいかもしれない」と思ったら、連絡してください。
あなたが連絡すれば、子どもの命が助かるかもしれません。それは、その子どもの親も助けることになります。
*この記事は、NPO法人ライツオン・チルドレンが書きました。ボランティアに助けてもらって、やさしい日本語にしました。
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